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ドラゴンクエスト7の小説ブログです。 9プレイ日記もあります。
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静かな波音の夜の、寝室はしんとして孤独。
すぐに眠るつもりだったオレは明かりを灯すこともせず、疲れた身体をベッドの上に預けた。

滑らかなシーツに指を走らせる、指先は何にも出会わず残るのは柔らかな温もりだけ。ああ、さっきまでいたんだな、と思うと、あの触り心地が急激に恋しくなった。ついため息が洩れる。

猫たちは生来気まぐれだ。昨日まで毎晩通ってきたくせに、こうしてふいにさぼる。あの黒いやつは今日はどこにいったのか、部屋に来る途中にも見かけなかった。一度横になってしまうと疲労は全身をひどく重たくし、もう起き上がる気にもなれず、添い寝する猫を探しにいく元気はない。ただ少しだけ物足りなくて、どうにも恋しいばかり。

トントントン、とノックが聞こえた。三回ノックするのは、舵とりのカデルと決まっていた。この時間に訪ねてくるとは想像していなかったから、オレは幸運に驚き、口の端で笑った。

「入れ」

マール・デ・ドラゴーンのキャプテンの寝室に、もとより鍵はない。
カデルはドアを押して寂しい部屋に入ってきた。

「カデル、いいところに来た!」
「は? いや、こんな夜更けに申し訳ねえ、明日の入港のことなんですが…」
「うん、明日の入港のことは明日起きてから話そう。オレは猫が欲しい。連れてきてくれないか? 今すぐ頼む。」

一瞬の絶句のあと、オレの名を呼ぶ呆れた声が聞こえたが、どうせ暗くて何も見えないのでオレは構わず横になったままでいた。

「シャークアイの旦那。それはご命令で?」
「頼むよ、カデル。今すぐ。」
「旦那ぁ…」
「面倒事ですまんがどうも疲れて起きられなくてな。」

同情を引くことを言うと、カデルは文句を引っ込めた。優しい男だ、きっといい夫になるぞ。オレは心からそう思うのだが、以前それを口にしたところ「仕事が多くて女房どころじゃないんでさ」と口応えされたので今夜は黙っていた。今すぐ今すぐ、とせっついたせいか、幾分早い足音が寒い室外へと去っていく。

「カデル! 出来れば黒いやつを頼む!」

アイアイサー、とだるそうな返事が戻ってきた。








船室を出るとすぐに黒い猫がうろついているところに出くわした。

「なんでえ、簡単に見つかるじゃねえか、しかも黒いのが…」

夜闇に光る黄色い両目はじっとおれを見上げ、いかにも用事のありそうな態度だということくらいは、キャプテンのような猫狂いでないおれにも見て取れた。
多分こいつがずばり、キャプテンご希望の黒猫だろう。
腹を抱きかかえて持ち上げても、なすがまま、逃げようともしない。

「あったけえなあ」

寒い夜だ、生き物の体温がしみじみと感じられた。
黒い柔らかい塊は「ニャーン」と可愛い声で鳴いた。


――――――――――
お題はこちらのサイト様から頂きました
capriccio様


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自己紹介:
ゲーム大好きモル元です。

9のプレイも一段落ついて、そろそろ7小説に戻ろうか、と書き始めた途端、シャークアイの知名度や活動人口の少なさを再び思い知って打ちひしがれている今日この頃です。皆さんにシャークアイのことを思い出してもらったり、好きになってもらうために、めげずに頑張って書いていきます!

シャークアイ関連の雑談やコメントなど随時募集中。お気軽に話しかけてやって下さい。世の中にシャークアイの作品が増えるといいなと思って活動しています。

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