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ドラゴンクエスト7の小説ブログです。 9プレイ日記もあります。
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額の髪をそっと分けて、
やさしく触れる手。
ひやりと冷たくて、気持ちいい。

「…だれ?」

私はそっと目を開く。
ピンク色の天蓋が、熱に潤む視界にゆらゆら揺れている。
そしてここにあるはずのない、草原の色をした……

「…アルス?」

目の前に、てのひら。
それはゆっくりとあたたかな光を集め、次第に豊かに輝いて、
そしてその輝きは私の内側を目指し、静かに浸透しはじめる。
魔法のちから。

「言っとくけど…、今マリベル様の力を借りたくったって…、あたしは風邪で動けないんだから、ね…。」

仲間たちはあたしを置いて、世界のどこかに行っちゃうし。
メイドはおろおろうるさいし、 お医者様の薬湯は苦い。
身体は熱っぽくてだるくて、頭がガンガン割れそうで、

「なによ、もう、ばか、皆だいっきらいよ…!」

魔法のてのひらはもう一度ふわふわ柔らかな光をたたえて、
ごめんね、マリベル。
そう囁いたような気がした。
かすかに聞こえた、回復の呪文。





目が覚めたとき、
部屋には夕暮れのオレンジ色がいっぱいに差し込んでいた。
ピンク色の天蓋を透かすその光、金糸の縁取りが反射する。
身体を起こしても、もうめまいはしなかった。
頭もズキズキ痛くない。

夢だったのかな?
そう思ったとき、ノックが聞こえ、

「あ、マリベル。起きたの? 具合どう?」

ひょこ、とドアから覗いた、草原の色をした帽子。
アルスはにこっと軽やかな笑顔を見せた。
あたしは世界を、もう一度好きになっていた。





――――――――――
お題はこちらのサイト様から頂きました
「うたかた遊び」様



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モル元
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自己紹介:
ゲーム大好きモル元です。

9のプレイも一段落ついて、そろそろ7小説に戻ろうか、と書き始めた途端、シャークアイの知名度や活動人口の少なさを再び思い知って打ちひしがれている今日この頃です。皆さんにシャークアイのことを思い出してもらったり、好きになってもらうために、めげずに頑張って書いていきます!

シャークアイ関連の雑談やコメントなど随時募集中。お気軽に話しかけてやって下さい。世の中にシャークアイの作品が増えるといいなと思って活動しています。

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