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ドラゴンクエスト7の小説ブログです。 9プレイ日記もあります。
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ご注意:
このお話は現代パラレルです。
読んで下さる方は「続きを読む」からどうぞ。

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私立フィッシュベル高校、生徒会役員の放課後は忙しい。
毎月なにかしら行事があり、会合は時期を問わず夕方まで続くことが多かった。

会長は水原有須。
とても16歳に見えない童顔が、一番の特徴。その外見のせいで一見頼りなく見えるものの、その実は責任感が強く真面目で、それが学内の支持を集めている。

副会長、網本麻理。
有須と同じく16歳で、こちらはしっかり者。毒舌家お嬢様気質の麻理は、周囲の引き締め役としては最適なのかもしれない。わがままだけれど。

そして会計、東園・グランエスタード・鍵。
有須たちより年上の、18歳。鍵は「鍵盤」の鍵だが、通称ではキーファと呼ばれている。
女子生徒の圧倒的な支持により当選した。つまり、キーファはかっこいいのだ。


生徒会役員、全7名の中でも、有須と麻理、そしてキーファの三人は特別だった。
表向きは「同じ町で生まれ育った幼馴染」ということになっている。

しかし、それは仮の姿だった。
有須たち三人は、大切な秘密を共有している。
誰も知らない秘密、それは、三人は別世界からやってきた、世界を救う使命を受けし者たちだということ。
今は生徒会という情報の集めやすい立場を使って、この世界で、ある人物を探している。

数か月前、占い師パミラは言った。
三人の旅を助ける重要な人物が、この世界、この国、この場所にいると。
その者と出会わなければ、世界を救う水の道は開かれないと。


「あーあ。疲れちゃったわ! キーファのやつ、今日はさっさと帰っちゃうし。」

慣れた下校ルートをたどりながら、麻理がため息をついた。
キーファがいないと、やっぱり寂しい。三人一緒がいいと、有須も思う。

「キーファ、妹の理沙ちゃんが寂しがるからって言ってたよ。」
「うそよ、会計の仕事がめんどくさいんだわ。自分がいなかったらアルスがやってくれると思ってるんだわ。アルスはお人よしすぎるのよ。」

キーファは見事な金髪の持ち主で、目も、薄いきれいな色をしている。
黒髪黒眼が普通のこの国では、キーファはかなりの美少年ということになるらしい。

「あいつ、もてるからってこっちの世界で遊びすぎよ! 絶対使命を忘れてるわ。」

使命。
有須は夕焼け空を見上げた。
謎の人物を探すこと。僕たちの冒険を助けてくれる人。

でも、こちらの世界に来てから数か月、その人物には出会えていないし、手がかりひとつない。
有須にはパミラの言葉がわからない。
水の道とは、何なのか。いったい、どういう意味なのか。

「まったく、生徒会も楽じゃないわ。今週中に会計きっちり出さないと、監査委員が怖いわよ、監査委員が。」

麻理は自動改札を通りながら愚痴った。
麻理の言う監査委員とは、フィッシュベル高校で生徒会と並び立つ自治組織のことだ。
私立フィッシュベル高校監査委員会。
生徒会とはまったく別の独立組織で、生徒会の活動を監視し、業務執行と会計処理の不正を常にチェックしている。


有須は定期券を取り出して、読み取り機の上にかざした。
ピッ、と軽快な音がして、改札が開く。
この自動改札が有須にはとても面白くて、数か月が経過した今でも、通学で使うたびに少し笑顔になってしまう。
電車も好きだ。
この世界の乗り物は本当に面白い。

「アルスっ、電車行っちゃうわよ、もう!」

麻理が叫んだ。
乗れるはずの電車は有須がのんびりしていたせいで、目の前でドアが閉まってしまう。
そのドアの向こうに消えていく、一つのシルエット。

「あっ、鮫島先輩!」

閉まっていくドアの向こうに、長身の生徒の姿があった。
有須は頬に血が昇るのを感じる。

監査委員長の鮫島敦士、
男なのに珍しい長髪で、制服も妙に決まっている、と有須は思う。
その割に、さっぱりしていて、変に目立つことのない不思議な人物だった。
有須は生徒会長として鮫島と何度か話すうちに、すっかり彼を崇拝するようになっていた。

鮫島はドアの向こうに取り残された有須に気づいて、にこっと笑った。
すらりとした全身、それでいて精悍な、男らしい気配。
有須はぽーっとのぼせたみたいになったまま、走り去っていく電車を見つめた。

「はー、かっこいいなあー、鮫島先輩…。」
「もー、アルスは鮫島委員長のこと好きすぎよ。ついでに、自動改札も好きすぎ。もっと早く通って頂戴。」

麻理は呆れて有須を叱った。次の電車まで、6分待ちだ。

「鮫島さんは確かにかっこいいけどさあ、生徒会長が監査委員長に夢中になってどうすんのよ。」
「うん…そうなんだけど…」
「だめよ、ほんとに。生徒会と監査委員会が仲良くしたら、生徒たちから癒着だとか言われるのよ。アルス、電車待ってあげるからジュースおごりなさい。」

この世界の魔法ではなぜか定期券でジュースまで買えるので、有須はまんざらでもない気持ちで自動販売機に向かった。

「自動販売機って面白いよね。」
「アルスってほんとにこういうの好きね。えーと、今日どれにしようかしら。んー。」

麻理のほうは、こちらの珍しい飲み物に興味津々なのだ。
有須は、自分は缶入りのブラックコーヒーを買って飲みながら、また鮫島のことを考えた。
どうしてか、有須は鮫島にとても惹かれる。
なにか運命のように。
水の道、という言葉が、有須の心にまたふわりと甦った。

新しい電車が来て、ドアが開く。夥しい人の群れ。
様々な人の顔が目の前をよぎっても、有須の脳裏にはいつまでも、鮫島の姿が焼きついて離れなかった。


――――――――――
お題はこちらのサイト様から頂きました
期間限定様


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ゲーム大好きモル元です。

9のプレイも一段落ついて、そろそろ7小説に戻ろうか、と書き始めた途端、シャークアイの知名度や活動人口の少なさを再び思い知って打ちひしがれている今日この頃です。皆さんにシャークアイのことを思い出してもらったり、好きになってもらうために、めげずに頑張って書いていきます!

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