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ドラゴンクエスト7の小説ブログです。 9プレイ日記もあります。
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長年の相棒、すっかり手に馴染んだ砲台の準備は完璧、
魔物どもを蹴散らす最高の弾が撃てるわ、と女は思った。
マール・デ・ドラゴーンの船側砲を預かる海賊は、何も男ばかりではない。


今夜の船は特別だ。
酒も料理も大盤振る舞い。コスタールの兵たちも一緒になって騒いでいる。
なにしろあのシャークアイに、ついに子供ができたのだ。

「おう、お前。」

大砲にもたれかかって酒を飲んでいた女のところに、一人の男がやってきた。
女と同じく船側砲の担当をつとめる夫。二人はいつも夫婦並んで砲台に立ち、魔物相手に戦っている。

「大決戦しようってときにアニエス様ご懐妊の宴だなんて、さすがシャークアイねえ。」
「そうだなあ」
「あたしらの息子もあんな男に育ってほしいもんだ。どこかの荒くれ旦那みたいじゃなくてさ。」
「なんだと、こいつ」

そこまで言って男はふと、妻の様子がいつもと違うことに気づいた。
ぱっと明るい、花の咲いたような口もと。

「…なんでえ、おまえ、化粧なんかしやがって」
「アニエス様ご懐妊の祭りじゃないか、化粧くらいするよ。惚れ直したかい?」
「ばか」

宴の大騒ぎの中、女がそっと唇を寄せた。

「ばかやめろ、紅が移る、紅が」
「なに恥ずかしがってんだい」

遠くの海の雨雲が迫り、ぽつぽつと降り始めた雨が、頬に当たる。

「いい雨ねえ。戦にぴったりの嵐になりそうじゃないか。」
「ああ、荒れそうだなあ。」

砲台の前に夫と二人並んで、
これから魔王をぶっ倒すと思うと心が躍った。

「さーあ、戦うよ!」

おお、うちのカミさんは怖い女だなあ、と、男は嬉しそうに言って笑った。

――――――――――
お題はこちらのサイト様から頂きました
期間限定様

マール・デ・ドラゴーンの船側砲のところにいる夫婦のお話でした。
きっと威勢のいい女海賊なのだろうと思います。
船員どころか、船自体がマイナーですが、色んな人が乗っている様子を少しでも伝えられれば嬉しいです。


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モル元
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自己紹介:
ゲーム大好きモル元です。

9のプレイも一段落ついて、そろそろ7小説に戻ろうか、と書き始めた途端、シャークアイの知名度や活動人口の少なさを再び思い知って打ちひしがれている今日この頃です。皆さんにシャークアイのことを思い出してもらったり、好きになってもらうために、めげずに頑張って書いていきます!

シャークアイ関連の雑談やコメントなど随時募集中。お気軽に話しかけてやって下さい。世の中にシャークアイの作品が増えるといいなと思って活動しています。

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