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ついにラストダンジョンです!




ラストダンジョンに行く前に帝都の様子を見に行ったら、あの「お風呂大好きな佐竹さん」がお風呂にいませんでした。探してみたらふつうに道ばたで陸軍の人だか警察の人だかと、確か治安を巡って争いごとをしていました。多分そんなことだったと思うのですが、「裸ではない佐竹さんは、見た感じが風呂場にいるときと大分違う」ということに気を取られてよく覚えていません。往来の佐竹さんは、俺の知っている佐竹さんと何か違う……

何か、佐竹さんにしてはちょっとこざっぱりしているというか、両肩を取り巻くように彫り込まれた入れ墨が隠れて見えない佐竹さんは、佐竹さんではないような気がします。でも話しかけると「おう、ライドウ」とか言ってくれたような気がするので、帝都と槻賀多に勃発したこの一件が終わったら、佐竹さんとはもっとよくお話がしたい。さすが佐竹さんは、贋アポリオンみたいな変なものを心に飼ってはおられない。佐竹さんの組は、確か「関東黒羽組」という名前だったような気がするので、ヤタガラスとも何かしらの結びつきがあるのかもしれません。



さて、承太郎が帝都の異界を駆け回って集めてきた運食い虫によって、小ポジトルヲが完成したので、これを使ってアバドンへの入口をこじ開けて侵入しました。中はシナドの神殿。シナドが何なのか、まだいまひとつ分かりません。球体のつらなりのようなこのラストダンジョンは、時々承太郎が意識を失ったときに見ていた、あの幻の地平そのもの。キラキラで綺麗です。さすがラストダンジョンだけあって、とてもよく出来ています。それに、ほとんど全て鳥瞰スタイルだし、2D迷路的で、歩き甲斐があり、とてもモル元好みです。月のない夜に承太郎そっくりの「カゲボウシ」が出現する以外は、かなり楽しく徘徊しました。

「痛えよう…」「将来なんていらねえよう…」と嘆く、シナドの面をかぶった茜ちゃんを、例の「顔を隠してもモミアゲから承太郎であることは間違いない」シナドの面をかぶった書生が引き連れて、どんどんダンジョンの奥へと潜っていきます。承太郎は二人を追いかけます。シナドの面をかぶった書生は言います。ライドウの名を捨てろ……と。このようなモミアゲのはみ出した男に何度もそう言われると、段々疑念が沸いてきます。今こいつの忠告に従ってライドウの名を捨てたら、この「シナド書生」がライドウを乗っ取るような気がする…!! …と。実に怪しい。

同じ一つの問いを、承太郎は何度となく尋ねられます。
鳴海に。あの「シナドの面の書生」に。そして金髪の青年に…。

お前のその行動、
ライドウとしてのものか?
それとも、空条承太郎としてのもの か?
帝都を守るために行動するのは、ライドウとしてか?
それとも、空条承太郎が、帝都を助けるために行動するのか……?

そして「シナドの面の書生」は行く先々で承太郎にこう勧告してくるのです。
ライドウの名を捨てよ。空条承太郎よ。
ただちにライドウを捨て、この戦いを放棄せよ。


ふ…この空条承太郎、最近ではクー・フーリンやアマツミカボシのほうが強すぎて、壁際に逃げてボスの姿すら見切れている間に勝利してしまい「俺のほうがクー・フーリンの管に入るべきかもしれない」と思い始めているとはいえ、甘く見て貰っては困ります!!

刮目して揺るぎなき我が姿を見よ!! 
この空条承太郎、わが血族の誇りにかけて、何があろうと生きている限り、後継者を得ずにライドウの名を捨てることはない!!

受け継いだこの名と使命がなければ、承太郎は一介の書生ではありませんか。ヤタガラスから管を与えられているのも、悪魔を使役しているのも、承太郎ではなく、「葛葉ライドウ」なのです。デビルサマナーとは言え、いや、デビルサマナーという危険な立場だからこそ、承太郎の一生はそう長いものではないでしょう。しかし葛葉ライドウは、一個の人間、代々の人間の寿命とは別に、数百年の長きを帝都とともにあり、帝都を支え続けるのです。今、帝都のために立ち上がるのは、私が葛葉ライドウだからだ! 承太郎としての意志を捨て去ることが、承太郎の意志そのものなのです!!

…と、十四代目としての決意を一層かたくしつつ、アバドンの中を進みます。まあ、まさかこの頑固なまでの立場重視の姿勢が、人々から「日和見主義」と見なされるとは思ってもいませんでした。それはともかく、随所に槻賀多の村人がいます。彼らは一様に、シナドの面をかぶっています。そして、承太郎に同行している弾や、槻賀多家をなじってきます。実に感じが悪い。

今まで槻賀多を信じて、天斗様と槻賀多に供物を捧げ、
その結果が、その報いがこれなのか? …将来に絶望した!!

彼らはそのように恨み言を言ってきます。
何を言うか!! 槻賀多に仕え、天斗をあがめている期間の安寧は、確かに保障していたではないか!! 今槻賀多に危機が訪れたからと言って、過去にさかのぼって全てを槻賀多のせいにするとは何たる見苦しさか!! おのれの選択に対する誇りはないのか!!! むしろ槻賀多に手を貸したらどうなのだ!!

……とライドウなどは内心カッカしてしまいますが、空気的に、この発想は完全に「悪い為政者の言い訳」のようなので、ぐっと黙っています。弾は「すまねえ、皆…」と言いながら、ポジトルヲをシナドの面にゴッとぶつけます。

絶望×希望=相殺ということで、これで村人たちは我に返る仕様です。1,2度こういうことがあると弾も段々慣れてきて、村人と見るや、額にポジトルヲをゴッ。こうしてシナドの呪縛から村人たちを巣くっていくのですが、ゴッされる直前まで喋っていた内容を、弾が許してもこのライドウは覚えているぞ! いくら人間が弱いからと言って、これは放ってはおけない暴言ではありませんか。ライドウは帝都の人間に手を出すつもりはないし、槻賀多の村は管轄外ですからもとよりノータッチですが、ここはむしろライドウではなく承太郎が一発殴らなければ気が済まない! でも弾が「許してやってくれ」みたいなオーラを出してくるので、黙って先に進みます。今は、茜ちゃんを助けてやることが先決で、民間人とケンカしている暇はないのです。



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ゲーム大好きモル元です。

9のプレイも一段落ついて、そろそろ7小説に戻ろうか、と書き始めた途端、シャークアイの知名度や活動人口の少なさを再び思い知って打ちひしがれている今日この頃です。皆さんにシャークアイのことを思い出してもらったり、好きになってもらうために、めげずに頑張って書いていきます!

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