ドラゴンクエスト7の小説ブログです。
9プレイ日記もあります。
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DQ9小説です。
キャラクターを曖昧にしたままではいずれ行き詰まるとは分かっているのですが、今のところ曖昧な感じです。プレイしている方が自分のキャラクターで読めればいいなーと思うのですが、性格は出てしまっているので、あんまり意味がないのかもしれません。
キャラクターを曖昧にしたままではいずれ行き詰まるとは分かっているのですが、今のところ曖昧な感じです。プレイしている方が自分のキャラクターで読めればいいなーと思うのですが、性格は出てしまっているので、あんまり意味がないのかもしれません。
***
真上に位置するラウンジから、客人たちのざわめきがかすかに聞こえてきている。
夜のプールはひとけがなく、天使像からの給水も止まっていて、女性客で賑わう日中とは異なる表情を呈していた。リッカが選んだという間接照明が揺れる水面を照らし、幻想的だ。
「あ、天使の羽根。」
水中を探っていた指先に、ふわりと懐かしい感触を覚えた。
「セントシュタインの宿のプールに、大切なものを投げ入れると、願いがかなう」。
世界各地からの冒険者が町と宿に増えるにつれてそんな噂が広まり、以来、リッカに頼まれて時々プールの中を確認している。
生活には要らなくても、旅に役立つものは少なくない。
優しいリッカが、気を遣って言ってくれているのだとは知っていた。
純白の大きな羽根。
誰かの背中から舞い落ちてもまだ、
キラキラと、みずみずしく清い輝きを纏っている。
もしかしたら、親しかった天使の羽根かもしれない。イザヤール師匠の羽根かもしれない。
子供の頃から長い時間を過ごしていた天使界を思い描くと、
それほど時が経過したわけではないのに、何だかひどく昔のことのようだ。
だって、人間界はもう誰も天使のことなど覚えていない。
街に残る天使像の由来も、なぜそこにあるのか、それが何なのか、誰もが忘れた。
何かの比喩のように、「天使の羽根」と呼ばれているこれが、本当に天使の背中に生えて輝いていたこと、
もしかしたら、自分の村を見守る守護天使のものだったのかもしれないと、もう誰も知らない……
「それ、天使の羽根? 錬金できるんじゃないか?」
物想いに耽っていると、背後から、仲間の一人が手元を覗きこんできた。
水着にも着替えず、鎧のまま水の中に足を入れている。
「錆びるよ。鎧。」
そう声をかけると、彼は笑った。
「天使の羽根ってきれいだよな。どうして羽根だけだと見えるんだろうな。天使は見えなかったのに…。」
仲間たちは、天使の存在を覚えている。
彼らはあのイザヤール師匠の大きな翼を忘れていないし、
きっと、エルギオスに残された最後の羽根が抜け落ちる残酷な瞬間は、今も記憶にこびりついているだろう。
この背中にあった、小さいけれど大切だった翼を目にしたことはなくても、天使だったという話は信じてくれている。
彼は時々、「お前の声は不思議な響きがする。やっぱり、元が天使だから?」なんて言ってくるけれど、プールの壁や水面に反響する彼の声こそ、いつまでもあたらしい驚きを与えてやまない、柔らかな、独特の響きがあった。
その声を聞くたび、振り返って彼の瞳に自分の姿を見い出すたび、人間が好きだと思う。
いつも戦いのときに助けてくれる、太くて逞しい腕が後ろから伸びてきて、
水着から露出した肩甲骨の膨らみを、指先でつんと突いた。
「羽根、お前もここにあったんだろ。きれいだっただろうな。見たかったな。」
彼は袋に入れてしまう前に天使の羽根を中空に掲げた、この背中に、思い描くように。
あの日、天使の一員として解き放たれて昇ることは出来なかったけれど、今、寂しさは感じない。
星空を一緒に見上げる仲間がいて、
その仲間とこうして言葉を交わし、身体に触れることが出来て、
祈りも、願いも、自分の頭で想像できることなんか超えて、叶っている気がする。
最初に失い、決断し、また失い、戦って、
たくさんの試練を乗り越えてきたはずなのに、
翼のないこの背中に降りそそいでいるのは、いつも、ひどく優しい運命のような気がする。
何だか、幸せだな、と呟くと、
彼は、気付いているのか分からない、少しはにかんだように笑って、「カマエルのところに行かない?」と言った。
リッカのプールはもはや拾えるアイテムが必要でなくなっても定期的に漁っていますが、出来れば誰かあそこに「よるのとばり」を投げ入れてほしいです。
真上に位置するラウンジから、客人たちのざわめきがかすかに聞こえてきている。
夜のプールはひとけがなく、天使像からの給水も止まっていて、女性客で賑わう日中とは異なる表情を呈していた。リッカが選んだという間接照明が揺れる水面を照らし、幻想的だ。
「あ、天使の羽根。」
水中を探っていた指先に、ふわりと懐かしい感触を覚えた。
「セントシュタインの宿のプールに、大切なものを投げ入れると、願いがかなう」。
世界各地からの冒険者が町と宿に増えるにつれてそんな噂が広まり、以来、リッカに頼まれて時々プールの中を確認している。
生活には要らなくても、旅に役立つものは少なくない。
優しいリッカが、気を遣って言ってくれているのだとは知っていた。
純白の大きな羽根。
誰かの背中から舞い落ちてもまだ、
キラキラと、みずみずしく清い輝きを纏っている。
もしかしたら、親しかった天使の羽根かもしれない。イザヤール師匠の羽根かもしれない。
子供の頃から長い時間を過ごしていた天使界を思い描くと、
それほど時が経過したわけではないのに、何だかひどく昔のことのようだ。
だって、人間界はもう誰も天使のことなど覚えていない。
街に残る天使像の由来も、なぜそこにあるのか、それが何なのか、誰もが忘れた。
何かの比喩のように、「天使の羽根」と呼ばれているこれが、本当に天使の背中に生えて輝いていたこと、
もしかしたら、自分の村を見守る守護天使のものだったのかもしれないと、もう誰も知らない……
「それ、天使の羽根? 錬金できるんじゃないか?」
物想いに耽っていると、背後から、仲間の一人が手元を覗きこんできた。
水着にも着替えず、鎧のまま水の中に足を入れている。
「錆びるよ。鎧。」
そう声をかけると、彼は笑った。
「天使の羽根ってきれいだよな。どうして羽根だけだと見えるんだろうな。天使は見えなかったのに…。」
仲間たちは、天使の存在を覚えている。
彼らはあのイザヤール師匠の大きな翼を忘れていないし、
きっと、エルギオスに残された最後の羽根が抜け落ちる残酷な瞬間は、今も記憶にこびりついているだろう。
この背中にあった、小さいけれど大切だった翼を目にしたことはなくても、天使だったという話は信じてくれている。
彼は時々、「お前の声は不思議な響きがする。やっぱり、元が天使だから?」なんて言ってくるけれど、プールの壁や水面に反響する彼の声こそ、いつまでもあたらしい驚きを与えてやまない、柔らかな、独特の響きがあった。
その声を聞くたび、振り返って彼の瞳に自分の姿を見い出すたび、人間が好きだと思う。
いつも戦いのときに助けてくれる、太くて逞しい腕が後ろから伸びてきて、
水着から露出した肩甲骨の膨らみを、指先でつんと突いた。
「羽根、お前もここにあったんだろ。きれいだっただろうな。見たかったな。」
彼は袋に入れてしまう前に天使の羽根を中空に掲げた、この背中に、思い描くように。
あの日、天使の一員として解き放たれて昇ることは出来なかったけれど、今、寂しさは感じない。
星空を一緒に見上げる仲間がいて、
その仲間とこうして言葉を交わし、身体に触れることが出来て、
祈りも、願いも、自分の頭で想像できることなんか超えて、叶っている気がする。
最初に失い、決断し、また失い、戦って、
たくさんの試練を乗り越えてきたはずなのに、
翼のないこの背中に降りそそいでいるのは、いつも、ひどく優しい運命のような気がする。
何だか、幸せだな、と呟くと、
彼は、気付いているのか分からない、少しはにかんだように笑って、「カマエルのところに行かない?」と言った。
リッカのプールはもはや拾えるアイテムが必要でなくなっても定期的に漁っていますが、出来れば誰かあそこに「よるのとばり」を投げ入れてほしいです。
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モル元
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女性
自己紹介:
ゲーム大好きモル元です。
9のプレイも一段落ついて、そろそろ7小説に戻ろうか、と書き始めた途端、シャークアイの知名度や活動人口の少なさを再び思い知って打ちひしがれている今日この頃です。皆さんにシャークアイのことを思い出してもらったり、好きになってもらうために、めげずに頑張って書いていきます!
シャークアイ関連の雑談やコメントなど随時募集中。お気軽に話しかけてやって下さい。世の中にシャークアイの作品が増えるといいなと思って活動しています。
シャークアイ、かっこいいよね!
9のプレイも一段落ついて、そろそろ7小説に戻ろうか、と書き始めた途端、シャークアイの知名度や活動人口の少なさを再び思い知って打ちひしがれている今日この頃です。皆さんにシャークアイのことを思い出してもらったり、好きになってもらうために、めげずに頑張って書いていきます!
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