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ドラゴンクエスト7の小説ブログです。 9プレイ日記もあります。
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「うん、うん、そうか。そりゃお前さん、いいプレゼントをしただな。そのおなごもきっと喜んでいるだよ。」

フィッシュベルの西のかなた、切り株に腰かけた一人のきこりが、シカを相手に喋っている。事情を知らない者から見れば奇妙な光景だが、ガボは少しも驚かなかった。きこりは動物たちと会話できるという、ふしぎな力を持っているのだ。

「きこりのおっちゃん! 元気か!?」

ひょっこり顔を出したガボに気づいて、きこりは笑った。

「おお、ガボでねえか、久しぶりだな。」

ガボは、えへへ、と照れ笑いする。アルスたちと別れ、ガボはもう、ひとりきりだ。

「みんなも、元気か?」

ガボの問いかけに鳥はさえずり、リスは、小さな木の実をガボに差し出した。

「よく来たなあ、ガボ。夕めし、食ってくか?」

きこりは立ちあがってそう言った。ガボはもっと言いたいことがあったが、「うん!」と明るく返事をした。





きのこのスープのいいにおいが、あたりに漂っている。きこりは慣れた手つきで鍋の中をかき回しながら、ガボに話しかけた。

「なんでも、神様が復活したんだってなあ。ガボたちが、魔王を倒しちまったんだってなあ。」

きこりはまるで別の世界で起こったことのように言った。ここは免れた楽園、エスタード。その辺境にひとり暮らすきこりには、魔王の出現すら、いっときの闇に過ぎなかったのかもしれない。封印されていた島々がよみがって息づき、そして世界中で平和の日々が始まるという実感は、きこりにはないのだろう。

「のんきだなあ、おっちゃん! オイラたち、大変だったんだぞ!」
「わはは、ガボは偉いなあ。」
「魔王って、ものすごーく、きもちわるかったんだぞ!」
「はあー、すごい話だなあ。ここはずーっと平和だべ。こうしてガボも訪ねてきてくれるしなあ。」

きこりはオオカミの子供の頭を撫でるように、ガボの頭を撫でた。ごつごつした、大きくて、やさしい手だ。ガボは幸せな気持ちになった。大切なことを言う勇気が湧いてくる。

「おっちゃん、オイラが遊びに来て、喜んでくれるか?」
「もちろんだべ。」
「……じゃあ、おっちゃん。オイラたちの旅はもうおわったんだ。それで、オイラここでおっちゃんやみんなと暮らしたいんだ!」

ガボが思い切ってそう言うと、きこりは少し驚いて、それからすぐに嬉しそうな顔をした。

「そうかそうか、それはオラも、みんなも、すごーく嬉しいだよ。そうかそうか、神様が復活したら、こんないいことがあるだなあ。さっそく今夜から、いられるだか?」

ガボの顔が、ぱあっと明るくなった。

「うん! ありがとう、おっちゃん! よろしくな!」



――――――――――
お題はこちらのサイト様から頂きました
期間限定様


ガボはラスボス戦後のアミット漁のとき、
きこりのおじさんと一緒にフィッシュベルに来ていますね。

ガボはやっぱりまだ子供だと思うので、きこりのおじさんと一緒に平和に暮らしてほしいです。

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ご注意:
このお話は現代パラレルです。
読んで下さる方は「続きを読む」からどうぞ。

*****
「あー、イルカがいる、イルカが」

誰が最初に気づいたのか、海賊たちの幾人かが仕事の手を休めて遠い水面を見下ろした。

「アルス、イルカがいるわよ!」

アルスはマリベルにそう声をかけられて、船べりから身を乗り出して下を見た。青い海に、悠然たる影が透けて見えた。

「何頭いるのかしら。すごいわね。」

そこにシャークアイがやってきた。

「アルス殿、マリベル殿。どうかしましたか。」
「シャークアイ、イルカがいるんです。ほらっ。」

シャークアイは、ふむ、という顔で船べりに両肘を預けて海面を見た。やっぱり背が高いなあ、とアルスは思う。同じ姿勢をアルスは取れないから。

「なるほど。ずいぶん気持ちよさそうに泳いでいるものだ。」
「うん。」

シャークアイはしばらくアルスと並んで柔らかな表情でイルカたちを見ていたが、急にがちゃん!という音をたてて鎧を足元に落とした。

「え?」

一瞬の出来事にアルスが驚いてシャークアイを見上げると、アルスの目の前を、シャークアイの大きなマントがばさりと翻っていった。主人を失って宙をはためくマントの向こう、落ちていくシャークアイのぱあっと楽しそうな横顔が一瞬アルスの眼に映った。

「シャーク、えええ!?」

シャークアイは落下の最中に器用に船側を蹴って船と距離をつける。

「あー。総領ー。」

気づいた海賊の一人が呆れた声を上げた。直後、ばしゃーん、という盛大な音とともに、シャークアイの悲鳴が船の上まで響いてきた。

「あーあー、キャプテン、なにやってんですかあ!」

シャークアイはばしゃばしゃと水をはねながら顔を出して海賊のほうを見た。

「ものすごく冷たい!! 水が!!」
「そりゃ冷たいに決まってまさあ! ここがどこだと思ってるんです!?」
「冷たいと思わなかったのだ!!」
「イルカに夢中でですかい!? もう、呆れまさあ、早くあがってくだせえ!」
「寒い!!」

寒い、寒い、と言いながらシャークアイはしばらく海の上で右を見たり左を見たり震えたりしていたが、やがて

「慣れてきた!」

と一言言い残して、イルカのほうまで泳いで行ってしまった。

「ありゃ風邪引くぜ。こんな寒いのに。」
「アルス様、真似しちゃいけませんぜ。この高さから飛び降りると痛いですよ。」

アルスはドキドキしながら海面を見た。シャークアイがイルカにくっついて泳いでいる姿が時々見えた。アルスは何となく許可を求めるような気持ちでマリベルを振り返った。マリベルはいつものようにアルスの心を見抜く、呆れたまなざしを返す。

「なによ、アルス。あんたまで泳ぎたいって顔しちゃって!」

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長年の相棒、すっかり手に馴染んだ砲台の準備は完璧、
魔物どもを蹴散らす最高の弾が撃てるわ、と女は思った。
マール・デ・ドラゴーンの船側砲を預かる海賊は、何も男ばかりではない。


今夜の船は特別だ。
酒も料理も大盤振る舞い。コスタールの兵たちも一緒になって騒いでいる。
なにしろあのシャークアイに、ついに子供ができたのだ。

「おう、お前。」

大砲にもたれかかって酒を飲んでいた女のところに、一人の男がやってきた。
女と同じく船側砲の担当をつとめる夫。二人はいつも夫婦並んで砲台に立ち、魔物相手に戦っている。

「大決戦しようってときにアニエス様ご懐妊の宴だなんて、さすがシャークアイねえ。」
「そうだなあ」
「あたしらの息子もあんな男に育ってほしいもんだ。どこかの荒くれ旦那みたいじゃなくてさ。」
「なんだと、こいつ」

そこまで言って男はふと、妻の様子がいつもと違うことに気づいた。
ぱっと明るい、花の咲いたような口もと。

「…なんでえ、おまえ、化粧なんかしやがって」
「アニエス様ご懐妊の祭りじゃないか、化粧くらいするよ。惚れ直したかい?」
「ばか」

宴の大騒ぎの中、女がそっと唇を寄せた。

「ばかやめろ、紅が移る、紅が」
「なに恥ずかしがってんだい」

遠くの海の雨雲が迫り、ぽつぽつと降り始めた雨が、頬に当たる。

「いい雨ねえ。戦にぴったりの嵐になりそうじゃないか。」
「ああ、荒れそうだなあ。」

砲台の前に夫と二人並んで、
これから魔王をぶっ倒すと思うと心が躍った。

「さーあ、戦うよ!」

おお、うちのカミさんは怖い女だなあ、と、男は嬉しそうに言って笑った。

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マール・デ・ドラゴーンの船側砲のところにいる夫婦のお話でした。
きっと威勢のいい女海賊なのだろうと思います。
船員どころか、船自体がマイナーですが、色んな人が乗っている様子を少しでも伝えられれば嬉しいです。


おおっと!
ツボの中から黒い猫!!

……と思ったら、ぬいぐるみだった。


両手で持ち上げてみると、身体の中身は綿だった。
軽くってふわふわ、
いい手触り。
ぷらんと垂れた尻尾が揺れるのが可愛い。


「おや、アルス殿。その猫。」


シャークアイがやってきて、僕の手の中の猫を見た。
これ誰のぬいぐるみなのかな。
ツボの中にあったのに、ずいぶん身綺麗で、
何だか、新しいみたいに見えるんですけど。

「シャーク、これ誰の?」
「よろしければアルス殿に進呈しましょう。」
「え?」
「それは先日マーディラスから連れてきたもので…」

ああ、シャークアイって、ぬいぐるみにも手を出しちゃうのか…。
てっきり生き猫だけかと。いい大人だし。


「いや忙しい。荷の整理くらい船員に任せたいのですがこのあたりのものはすべて俺の私物でしてな。カデルが早く片づけろとうるさいのです。今日中に決算がどうとか細かい男だ、わっはっは! そうそうアルス殿、その猫は喋るのですぞ。」
「えっ?」


シャークアイは僕の疑問には答えないでコンテナの片づけを始めた。
だいたい私物と称してシャークアイが仕入れるものの多くは船員のためのプレゼントだったりして、シャークアイっていい上司なんだ。まあ、この猫は間違いなく自分用だろうけど。

僕はしげしげとぬいぐるみを眺めた。
この猫が、喋る、だって?

「…お前、喋るの?」
「…ニャー」
「えっ」

ほんとにニャーって言った!
僕はびっくりして猫のぬいぐるみを見つめた!
猫の口元は確かに笑っているけど、いや、でも、それはもともとそういう顔だよね?
ぬいぐるみ、だよね?

「…ええっと…、こ、こんにちは、ネコさん。」
「はじめましてだニャー。」
「!!」

僕は今度こそ背後を振り返った。
シャークアイは背中を向けてせっせと荷物を解体している。
長い黒髪が揺れていた。
忙しそうで、とても話しかけられる雰囲気ではない。


僕はまたおそるおそる猫を見た。
ぺろんと垂れた尻尾の揺れ具合に、何かこう、一瞬前に見たものを思い出すような…。

黒いふわふわのお腹を両手できゅうっと押すと、
ぬいぐるみは「こんにちは」って挨拶するみたいに、僕に向かって身体を傾ける。
その愛くるしい黒猫にじっと見詰められたまま、僕は、そーっと後ろを顧みる。

「……いま、喋ったよね?」
「…ニャー?」

………。

「……僕、アルス。よろしくね?」
「よろしくニャー!」
「……ネコさん、僕と友達になってくれる?」
「アルス殿と一緒に遊びたいニャー!」


ああ、シャークアイ、すごく忙しそう。




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プロフィール
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モル元
性別:
女性
自己紹介:
ゲーム大好きモル元です。

9のプレイも一段落ついて、そろそろ7小説に戻ろうか、と書き始めた途端、シャークアイの知名度や活動人口の少なさを再び思い知って打ちひしがれている今日この頃です。皆さんにシャークアイのことを思い出してもらったり、好きになってもらうために、めげずに頑張って書いていきます!

シャークアイ関連の雑談やコメントなど随時募集中。お気軽に話しかけてやって下さい。世の中にシャークアイの作品が増えるといいなと思って活動しています。

シャークアイ、かっこいいよね!
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